わたしの意見-
水野 創

続・県人口減少の評価 ―広がる風評 

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月9日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 前回、千葉県の人口減少を大震災、原発事故の影響の目立つ6市の計数から確認した。

 今回は分析の範囲を広げ、県内を郡と市に分け、市については、液状化、津波、原発事故の影響を受けた市と交通インフラの整備等で人口が増加している市等に大別した上で、前回の手法で集計を行った。

 その結果(下表)は以下のとおりである(昨年3月から12月までの動き)。

 ①市、郡共に減少しているが、昨年3月以降の変化は市で著しい。郡は従来の減少傾向に変化はない。

 ②市の変化幅を地域別に見ると、減少幅は液状化被害地域が最大で津波被害地域が続く。放射能被害地域の減少は小幅。この間、人口増加地域の増勢はここに来て鈍化が目立つ。

 ③変化幅を前年対比(下グラフ)で見ると、県全体では「昨年3月からの半年」より「昨年9月からの4ヶ月」の方が大きい。これは主に放射能被害地域と人口増加地域の動きを反映しており、その傾向は上記4区分以外の市にも当てはまる。これに対し液状化被害地域の前年対比は後半は小幅になっている。

 このように、人口への影響は、時間の経過と共に、直接の被害地以外にも広がっているようにみえ、風評の影響の大きさを感じる。本格的な復旧、除染作業と共に県全体の風評対策を急ぐ必要があると思う。

 (注)放射能問題については、専門家の研究成果を昨年の「第3回震災復興セミナー」で取り上げ、「マネジメントスクエア2月号」に掲載しています。ご覧いただければ幸いです。

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