わたしの意見-
水野 創

思い切った日銀の政策決定 

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月16日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は、2月14日の政策委員会・金融政策決定会合で金融緩和の強化を決定した。

 市場には意外感もあったようだが、デフレとの戦いで当面の課題となる、①為替円高進行の阻止、②欧州経済の混乱とそれに伴う市場の動揺への機動的な対処として、良いタイミングでの、思い切った政策決定だと思う。

 すなわち、今回の決定は以下の点で評価できる。

 ①FRBのインフレ目標2%を掲げた金融政策決定(1月25日)は為替円高要因となったが、それに対し、日銀がインフレ目標を1%と明確にしその達成まで金融緩和を強力に進めるという強い意志を示したこと。

 ②資産買入等の基金(国債)の10兆円増額により、欧州経済の動向が輸出を通じて我が国経済に更に下押したり市場が動揺したときにも、これまで以上に強力かつ迅速に対応する手段ができたこと。

 因みに2月13日に発表された、2011年10~12月のGDP速報の国内需要は堅調で、復興需要本格化により2012年度に向けて成長が高まるシナリオが読み取れるが、輸出の減少が全体に影を落としている。また、2011年に入り消費者物価はそれまでの下落から横ばい圏内の動きになっているが上昇の力強さには欠け、円高や海外需要の影響を受ければ、再びマイナス傾向になるリスクを有している。

 今回の対応により、市場の投機的な動きを押さえ、2012年の経済成長、デフレ脱却の方向がより確実になるよう期待している。

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