わたしの意見-
水野 創

人口減でも成長を続けるドイツ 

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月23日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日本のデフレの一因として、人口減少が指摘されている。

 確かに、人口減少は、消費・消費関連投資の減少、需給の悪化、成長見通しの低下等様々の経路でデフレの原因になっている。しかし、「人口減少により必ずデフレになる」わけではない。

 ドイツの例で確認しておきたい。

 人口は、日本とほぼ同時期に減少に転じた。

 しかし、ドイツの実質GDPは、その後も、最近の欧州経済の混乱の影響を受けるまで高めの成長を遂げている。また、物価も1~2%程度の安定した上昇を続けている。

 ドイツ経済の特徴は、第一に、人口は日本の3分の2だが、輸出は日本の約2倍という経済構造にある。人口減による消費関連需要の減少を、輸出・輸出関連投資の伸びが上回っているわけだ。第二に、東西ドイツ統合による、生産性の低い旧東ドイツ地域の存在である。物価重視の政策運営と共に、ユーロ導入後の高めの成長と物価の安定を支えたものと思われる。

 もちろん、これらについて、(1)ドイツの輸出の増加はユーロ導入によるユーロ域内での強い競争力の結果である点、(2)統合という特殊事情がある点、日本と単純な比較はできない。しかし、第1点について、2008年のリーマンショックまで、日本は1ドル110~120円程度の円安と輸出増加を享受していたこと、第2点について、日本には若者、女性、60代の元気な定年退職者という多くの未活用な労働力と大量のお金を持っていることも事実である。

 厳しい環境であることは事実だが、こうした側面にも着目し挑戦して行きたい。

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