わたしの意見-
水野 創

昨年の県外からの転入は前年比17千人減 

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」3月1日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2011年の他県との人口移動は11千人の転出超過となった。前年が13千人の転入超過なので前年との差は24千人であるが、内訳を見ると転入が167千人で前年比17千人、9%の減少、転出が178千人で同7千人、4%の増加となる。         

 千葉県の県外との転入、転出の動きは1990年代から次のような特徴がある。

 1.転出は多少の振れはあるが、緩やかな減少傾向にある。

 2.転入は転出に比べ増加、減少に振れがあり、最近では2007,2008年の増加が大きい。

 3.これまでの転入超過数の動きは主に転入の変化に応じているが、転入、転出が別の要因で動いているため、転入超過数の変動は2010年までの10年でも6~30千人と大きい。

 こうした特徴の背景は以下のように考えられる。

 1.転出は、人口構成の変化により進学、就職、結婚等のため県外に移る人が減少傾向にあることを主として反映している。

 2.転入は、景気情勢による首都圏への人の流れの増減や近年ではつくばエクスプレスの開業等交通インフラ整備を契機とした沿線居住者の増加を反映している。

 今回の転出の動きは年度替りの5月ころまでに一巡するとして、昨年の転出超過の半分くらいの要因がなくなることとなる。その後の動向は転入の動きにかかってくる。具体的な対策として、①転入減少の原因となっている液状化対策、除染をできるだけ早く行うほか、②計画、工事中のインフラ整備の推進、③液状化現象、放射能の直接の被災地以外に風評被害が及ばないような正確な情報の提供が求められる。(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月9日号で触れたとおり、風評被害が広がっているように見られるだけに、第3の対策も重要である。

 2011年の転入数は1990年以降の中でも少なさが目立つが、転入はこれまでから振れがあり、その幅は20千人程度で今回の減少幅を十分に補える幅である。あわてずに対応したい。

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