わたしの意見-
水野 創

政治の季節のEUと日本  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月26日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ギリシャの問題が一段落した後、EUでは政治が表舞台から引っ込んでいたが、4月23日のオランダ内閣総辞職、5月6日のフランス大統領選挙、ギリシャの総選挙等、ここに来て、再び政治が舞台に登場してきた。

 この間、米国を始め世界のほとんどの国の経済は多少の振れはあるものの年初の見通しに沿って緩やかながら回復に向かいつつあり、各国の金融システム(金融機関経営)、金融資本市場の危機対応力は一段と強化された。こうした状況を受け、4月17日に発表された2012年、2013年のIMFの世界経済見通しは、1月時点の見通しから小幅な上方改定となっている。1月の改定時に昨年9月の見通しから大きく下方修正されたのとは対称的であり、政治発の混乱なしに経済改革が進む意味を改めて感じる。

 現時点では政治にかく乱されるリスクは再び高まっているが、リーマン破綻時やギリシャのような「取りはぐれ」リスク発生の懸念さえ強まらなければ、ある程度市場を動かす材料とはされても、成長見通しに大きな影響を及ぼすような大きなリスク発生には至らないと思う。

 こうした状況は、円為替相場にとっても円高修正要因であり、また、輸出数量の回復要因となっている(3月の輸出数量指数は6ヶ月ぶりに前年を上回った)。

 心配なのは日本の政治である。

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