わたしの意見-
水野 創

2つのデフレ指標の今後  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」5月24日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週17日に1~3月のGDP統計の一次速報が公表され、2011年度の姿も明らかになった。この機会に改めて経済とデフレの今後について考えてみた。

 

 第一に1~3月が自動車販売の好調や輸出の回復から高めの成長となり、生産、稼働率等と関係の深い実質GDPは2011年度合計で511兆円とほぼ前年度並みの水準となった。特に国内需要は前年度を1%上回り、輸出の減少、輸入の増加を補っている。

 第二に、雇用者の所得や収益と関係の深い名目GDPは470兆円と前年を2%下回り、2000年代では最低の水準である。国内需要は前年度を若干上回ったものの、輸出の減少、輸入増加による海外への所得流出の影響が大きかった。景気回復の実感を得にくい実情が示されている。

 第三に、デフレ指標を見ると、国民生活と関係が深くデフレ判断の基準となっている消費者物価はほぼ横ばい圏内になったのに対し、海外との取引や為替相場の影響も含まれるGDPデフレータは低下を続けている。

 2012年度は復興需要の拡大から国内需給はより引き締まると見込まれる。景気回復・デフレ脱却に向けて実感を確かなものにするために、海外との取引で輸出を増やし、発電燃料輸入増や原油高等の輸入増による所得流出を抑えていくことが重要だと思う。

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