わたしの意見-
水野 創

成田空港利用者数と県内観光  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」5月31日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 成田空港の利用者数は2007年をピークに伸び悩んでいるが、その影響が県内の関連指標にどのように現れているか点検し、今後を考えたい。    

  

 成田空港の国際線利用者数は、リーマンショック(2008)、JALの経営破たん(2009-2010)、大震災・原発事故(2011)の影響を次々と受けた。この2年、国内線の充実を図っているが、国際線の落ち込みをカバーし全体の利用者を押し上げるにはまだ時間がかかる。 

    

 こうした影響を明確に受けているのが、京成電鉄、JRの成田空港、空港第2ビルの乗降者数である。また、宿泊者数のうち外国人についても影響が見られる。

 

 これに対し、県内観光地の入込客数、日本人の宿泊者数は、ちばディスティネーションキャンペーン(2007)、国体開催(2010)の効果もあって、大震災・原発事故まで増加基調を維持にしており、成田空港利用者伸び悩みの影響はほとんど見られない。東京ディズニーリゾートや成田山新勝寺、臨海学校など日本人客、特に安定した団体客の恩恵を受けていた県内観光の特色をよくあらわしているが、一方で、成田空港利用者伸び悩みの辛さを県内全体で共有しにくい背景となっていたと思う。

 今後、成田空港の発着枠拡大、利用者増加の効果を県内が享受するためには、国内線充実による成田空港の日本人利用の拡充、世界一を目指す国際的イベントやショッピングの充実等外人客の県内誘致、リピーターの拡大・確保が課題となる。

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