わたしの意見-
水野 創

GDP統計は上向きなのに  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」6月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 1~3月GDP2次速報は復興の進行から1次速報を上回った(6月8日)。

 2011年度は大震災・原発事故の影響が大きかったが、四半期毎には着実に回復していることが確認できた。雇用情勢が厳しい中でも、雇用者報酬は、実質ベースだけでなく、実感に近い名目ベースで増加に転じている。年度では大きく下落したGDPデフレータも年末以降は横ばいに変化している。

 期待される回復シナリオは、成長戦略の具体化や海外経済の持ち直しからデフレ脱却が展望される姿である。

 しかし現状は、欧州危機の世界への波及懸念、円高、原発再稼動問題(電力料金、夏場の電力需給)、税・社会保障の一体改革の行方等国内外に不安材料が余りに多く、重い。一部の国で進行中の国債・不動産バブル等の先行きも読めない。

 政策運営は、最後は選挙・国会という国民・政治の判断に委ねられる。今週末にかけてもわが国3党修正協議、ギリシャ選挙等が予定されているが、昨年からの動きを見る限り、経済の視点から見て合理的な判断が下される保証は全くない。

 大変な時代が続くが、これをチャンスと前向きに捉え、想定外を含む最悪ケースにも備えつつ、一層の節電等体質を強化し、環境変化に応じたビジネスの展開を図っている会員の皆様が多いことにも勇気付けられている。

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