わたしの意見-
水野 創

価値あるEUの「成長戦略」合意  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」7月12日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 EU首脳会議は6月28日、1,200億ユーロの成長促進策を含む「成長・雇用協定」に合意した。7月10日のEU財務相理事会ではスペインの財政赤字目標の達成の1年延長も認められた。

 こうした成長重視の合意は、成長率が低下し、経済危機による更なる下ぶれリスクも懸念される下で、仏・大統領選、ギリシャ・議会選挙に示された国民の緊縮疲れ、投資家の投資抑制に対する政治からの対応と評価することができると思う。

 そして、欧州が財政・金融機関経営の建て直しを進める前提としてユーロ域内の為替相場による調整が出来ないことがあるのに加え、世界経済の現状が、①主要国の低成長、②新興国の減速、③金融政策の余地が少ないなど、日本の金融機関不良債権処理進捗時(03~06年)、リーマンショック後の急回復期(10年)に比べ厳しいことを考えれば、今回の「成長戦略」の持つ意味は一段と大きくなると思う。

 世界経済の環境は同様だが、デフレからの脱却に取り組む日本が、10年策定の「新成長戦略」で格別の成果を上げられないまま、政権交代後の今また「日本再生戦略」の策定に時間をかけている現状はさびしい限りである。

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