わたしの意見-
水野 創

続く経済見通しの引下げ―世界と地域の温度差―  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 10月9日発表のIMFの世界経済見通しでは、日本の実質GDP成長率について、2012年が上方修正、2013年が下方修正されていたが、国内では、2012年度についても慎重な見方が増えている。

 すなわちエコノミストの最近の実質GDP予測が+2%を下回るところまで引き下げられているほか、10月30日の日銀の政策決定会合では、需給バランス改善の遅れから展望レポートの消費者物価見通しが下方修正され金融緩和が一段と強化されるとの見方が多い。

 こうした見通し慎重化の背景には、中国経済の成長力に関する疑問(実質GDP前年比1~3月+8.1%、4~6月+7.6%、7~9月+7.4%と2期連続してIMFの2012年見通しの+7.8%を下回る伸びとなっている)、尖閣諸島問題や政権交代に伴う政治リスクの高まり、我が国が得意としてきた電気製品等の国際市場での劣勢などがあると思う。

 こうした厳しい国際・国内の環境ではあるが、千葉県で仕事をしていると当地の恵まれた環境を改めて感じる。

 もちろん、厳しい環境と直接かかわりを持っている企業・地域では大変な困難が続き、生き残りをかけて懸命に取り組んでいることは事実である。一方で、千葉県では、①津波・液状化・放射能対策等の復興需要が今後数年にわたり継続する見通しであること、②成田空港、圏央道、再開発等プロジェクトが目白押しのほか、本年も新規案件が次々と公表されていること、③ベッドタウンとして発展してきたことを背景に今後の急速に進む高齢化に伴う新規需要が開拓可能であること、など地域の持つ潜在力の高さを見逃すことができない。

 全体の厳しさに萎縮することなく、創業理念の実現をはかり、得意分野を磨いていくことが重要だと思う。

 今週末の「ちばアクアラインマラソン」も楽しみである。強風とならないよう、また世界で唯一の海の上を走るマラソン大会として定着するよう願っている。

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