わたしの意見-
水野 創

政府・日銀連携強化への期待

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」1月24日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 1月22日、日銀は金融政策決定会合で、物価安定の目標と無期限の資産買い入れを決定し、同時にデフレ脱却に向けた政府との共同声明を公表した。先の緊急経済対策(11日)と補正予算(15日)とあわせ「アベノミクスの3本の矢」の具体策第1弾が出揃ったことになる。

 一連の具体策が当面の景気にプラスに働くことは間違いない。ただ、日銀が同時に公表した、政策委員の2013年、14年の消費者物価見通しは、それぞれ前年度比+0.4%、+0.9%(消費税増税を織り込むと+2.9%)とデフレ脱却に向けた現実が厳しいことを示している。見通しの幅も中心値から下方向に広がっているように見える。また、両年の実質成長率見通しも、消費税増税の駆け込み、反動もあり同+2.3%、+0.8%となっている。

 お目にかかる企業経営者の皆さんの表情は円安、株高基調を反映して総じて明るいが、意見交換の場では大胆な政策の副作用としてのハイパーインフレや将来の年金・医療・介護に対する不安に対しどのような備えが必要か真剣に問われることも多い。

 当面の成長率を高め消費税導入の影響を小さくするために政府、日銀が連携し対応することはもちろん重要だが、同時に、より長い目でみた、デフレ脱却の確かな展望と先行きの不安材料の払拭に向け、両者がそれぞれの役割をしっかり果たしていくこと、すなわち(1)日銀が「大胆な金融緩和」への信頼感を築くとともに、(2)政府が「成長戦略」、「骨太の方針」を大胆に策定、実施し成長率を引き上げ、財政規律を確立していくことが必要だ。

 23日は市場が円高、株安に振れたが、基調に変化はないと思う。市場の出尽くし感に対抗する、政策の具体化とその目に見える成果の実現が期待される。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。