わたしの意見-
水野 創

難しい高齢者像の把握

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月19日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 県内の高齢者世帯は急速に増加している。2000年から2020年までの一人暮らしと夫婦のみの高齢者世帯の増加率は各2.9倍、2.1倍と全国でも埼玉県の3.2倍、2.3倍に次いで2番目となる見込みだ(表1)。

 高齢化社会に対応し新しい事業展開を考えている企業経営者は多いが、対象となる高齢者の多様さから焦点を絞りにくいとの声も聴く。そこで今回は全国、県内の関連計数をいくつかご紹介したい。

 全国の高齢者の世帯属性をみると、勤労者世帯が15%、無職世帯が68%(うち単身25%、夫婦23%)、その他が17%となる(表2)。その2012年の月平均収入、支出との過不足は勤労者世帯の場合41万円で3万円の黒字なのに対し、単身無職世帯12万円、夫婦無職世帯は21万円でそれぞれ3万円、5万円の赤字(貯蓄取り崩し。表3)。

 高齢者世帯の貯蓄は2011年平均で2287万円だが、貯蓄金額別構成比では全体に比べ1000万円未満の比率が小さく、1000万円以上の比率が大きいことが分かる(表4)。

 一方、千葉県の資料では県内の高齢者世帯の持ち家率は夫婦世帯で9割、単身世帯で7割と差があり(表5)、その年間収入(2008年)は借家では300万円未満が75%と高くなっている(表6)。

 こうして見ただけでも高齢者世帯の種類、暮らしぶりは様々である。このほか、世帯の人数、健康状態等の要因も有り、どういった種類の高齢者を対象とすれば自社の強みを最も活かすことができるか、十分に絞込みを予め行っておくことが重要だと改めて感じた。

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