わたしの意見-
水野 創

長期金利上昇とデフレ脱却期待

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」5月16日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 円高修正、株高が続く一方、長期金利は振れの大きさと水準上昇が目立っている。

 最近の長期金利の動きについては以下の解説が可能だと思う。

 ①(投資先の変化)低利の国債から値上がりを見込む株等にシフト。今後、一本調子の上げが一服すれば上昇圧力は低下する。

 ②(日銀大量買入れの副作用)市場の価格調整が円滑に機能せず、売買状況次第で価格が大きく変動。今後、日銀の市場との対話の強化・買入手法の改善により落ち着くはず。

 ③(物価上昇見通しの強まり)アベノミクスが順調に進みデフレ脱却期待が膨らむほど長期金利にも上昇圧力。なお、財政再建の先送りは許さないという圧力にもなっている。

 実際にはこれらの要因が絡み合っての推移となろうが、このうち、基本的な方向を示す「③物価上昇」について、5月14日発表の最新の民間エコノミスト見通しで確認しておきたい。

 今回は4月の「質的・量的金融緩和」決定後を調査期間とする初めての調査となる。2013年度、2014年度の物価見通しは前年度比+0.32%、+2.61%で前月比、0.05、0.14%ポイント上方修正。長期金利はより長期の物価予想に基づくと考えられるが、上昇の動きと方向は合致している。

 本調査の特徴は、状況の変化に応じて敏感かつ比較的大幅に変化することだと思う。昨年後半の海外経済減速を見た実質GDPの下方修正、そして政権交代後の上方修正も明確である。今後、消費税増税の振れを乗り切り、2014年度の向けて見通しが更に上方修正されてくるか、動向が期待される。

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