わたしの意見-
水野 創

日銀、強気の経済見通しを維持

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」7月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週、日銀は2015年度までの経済見通しを見直した(7月11日)。微調整はあったが概ね前回(4月)の見通しに沿った強気な内容になっている。

 前回からの3ヶ月は「5.23ショック」の大きなかく乱要因はあったが、アベノミクス後約半年、基本的には超円高修正の定着に支えられ期待しうる最良の経路を辿っているという自信が示されていると思う。民間の2013年度実質GDP見通しも7月は+2.8%と強気の日銀見通しに近づいており、少し気が早いが、今年度の経済はまず大丈夫だろう。

 これに対し難しいのが2014、2015年度である。今回の見通しでも、消費税増税後の実質GDPの見通しは1%台半ばと低めのままだ。見通分布チャートの上下の幅も引き続き大きく、大勢見通しの下限は引き下げられている。2014年度については引き続き慎重に見る民間との差も+0.6%と大きい。

 日銀の見通しは、成長戦略の効果や企業部門から家計部門への波及を目いっぱい織り込んでいる。それらの見極めがつかず、緩やかに回復しているとはいえ中国など不透明さも残る海外経済の状況、さらには選挙後どのような政策運営がなされていくかを含め、今後、強気・慎重のどちらにも進みうるというのが正直なところだろう。

 これまでどおり最良の経路を進めるような政策運営がとられ、2014年度以降もより明るい見通しとなるよう期待したい。一方で、企業・家計とも、多少なりとも回復の進む2013年度のうちに2014年度以降のリスクへの備えが必要なことも改めて強調しておきたい。

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