わたしの意見-
水野 創

景気回復宣言後の力強さは?―6月短観の設備投資計画―

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」7月25日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 政府、日銀は相次いで景気回復宣言を行った。参院選の結果、ねじれが解消し、大胆な構造改革、成長戦略のスピード感ある具体化により今後回復も加速されることを期待したいが、一方で、中国経済の不透明さや消費税増税の影響等回復の勢いを削ぐ要因も存在する。

 今後の回復の力強さについて、選挙前の調査だが、日銀6月短観の設備投資計画で確認しておきたい。

 短観のある年度の設備投資計画の調査は、前年度末の3月調査から翌年度6月の実績調査まで6回実施され、その間にどのように計画が修正されるかで企業の投資意欲の変化が分かるようになっている。修正状況のグラフを見ると、一般に大企業製造業は当該年度入り後の6月調査で計画を固めると年度内はそのまま進むことが多く(グラフは6月からほぼ横ばい)、これに対し中小企業製造業は、最初に慎重に計画を作った後、状況によって投資を積み増す傾向があることが分かる(グラフは右上がり)。

 そして6月短観の2013年度計画は、大企業製造業ではこれまでの平均並みの動きになっているのに対し、中小企業ではこの時期としては、例年になく高い伸びになっていることが分かる。

 大企業に比べ中小企業が力強い結果だが、業種別内訳を見ると、紙パルプ、窯業土石、業務用機械、輸送用機械等が高く、石油・石炭、汎用機械等が低いなどばらつきは多い。また、中小企業非製造業はまだ前年度比マイナスの計画である。9月短観以降の動きに注目したい。

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