わたしの意見-
水野 創

デフレとの戦いには「期待」の持続が重要

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月4日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 いよいよ来年4月の消費税引き上げが決まり、景気の腰折れを防ぐための経済対策も同時に公表された。

 今回の経済対策は、デフレ脱却への「期待」を維持する強い決意を政府が示すもので、以下の理由から極めて重要である。

 ①足元の景気は確かに上向いているが、公共事業の一巡や消費税引き上げ前の駆け込みの反動で来年度の減速は確実な状況である。

 ②「期待」からスタートした変化は、超円高の是正、海外景気回復、公共投資などに支えられ、いよいよこれから「設備投資、雇用・所得への波及本格化」や「大企業から中小企業への効果浸透」が期待できるところに来ている。しかし、この時点で景気の腰折れ懸念から「期待」がしぼんでしまうと、企業は設備投資、雇用・所得に対して慎重になってしまうだろう。

 ③「第3の矢」の成長戦略は既得権の大きな壁に阻まれ、参議院選挙後も目立った成果を上げていない。実現に時間がかかりそうだという予感も「期待」にはマイナス要因となる。

 ④千葉県の状況を見ても、人口の増加基調の回復をはじめ、観光、高額消費の好調など明るい材料が多いが、厳しいグローバル競争を戦う製造業は自動車関連の比率が低いこともあって全国に比べ緩やかな回復にとどまっているなど業種・地域により強弱がある。

 なお、消費税引き上げ決定と同じ10月1日に発表された9月1日の千葉県人口は6,192,351人と前月比1,010人減少したが、4月1日対比では7,798人増加し回復基調を続けている。

 来年度の減速が実際に起こってからの対策では「期待」の持続には手遅れである。

 幸い2020東京オリンピック決定で来年を乗り切れば7年間は大丈夫という長期的な目標、期待感が与えられている。このチャンスを生かしデフレ脱却を実現したい。

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