わたしの意見-
水野 創

米国、議会の幕引きは上達するか

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月10日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 米国では議会の対立から政府機関の一部閉鎖や債務上限問題に対する懸念が続き、成長見通しの引き下げ、株価低下、為替は円高に振れている。

 米国議会による経済、市場変動の増幅は、2年前、2011年夏の「米国債の格下げ」の記憶も新しい。当時は、影響が全世界に及び、わが国も8月、10月と2回の金融緩和強化で超円高の進行に対応した。

 幸い今回は、①その後のリーマンショックからの回復、②それに伴う市場の関心の金融緩和の出口政策への集中、さらに③政治による経済・市場の攪乱に対する学習効果も大きいのだろう。今のところ、経済、市場への影響は前回に比べ格段に小さく、長期金利を急騰させた5月のバーナンキ議長発言ほどの影響はない。特に9日発表のFRB議長後任へのイエレン氏指名の市場への効果は大きいだろう。

 今回は、議会対策でオバマ大統領がTPP会合に出席できなかったことによる国際的な威信低下という政治面の影響が、先の化学兵器使用に対するシリア制裁の振れと合わせ、今後に尾を引くと思う。

ねじれを解消したわが国が消費税増税、経済対策を整斉と決定しているのと対象的だ。

 それにしても、今回の動きで「経済回復」や「国家の威信」より「次回選挙での当選」第一の政治家の世界と、市場、経営者の世界の違いを改めて感じる。この2年間の政治の世界以外での環境変化の下、今回、議員達がどこで、どのように幕引きをするか興味深い。

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