わたしの意見-
水野 創

消費税引き上げ直前の経済指標と空気(続)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」3月27日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 4月1日の消費税引き上げを直前に控え、今週末の店頭は駆け込み需要で賑わうだろう。通勤途中で店頭を見ても、セール商品の一部品切れ、外税方式への移行の掲示、原料高なのか一部商品の先行値上げなどこれまでにない光景が飛び込んでくる。

 こうした消費者に直結する部分の盛り上がりに対し、川上の製造段階の企業経営者は既に駆け込み需要の一巡、需給の引緩みを感じ始めていることは前回触れたが、今回は、景気予測を仕事としている人たち(フォーキャスター)が、今後の見通しについてどのように見ているかを確認しておきたい。

 フォーキャスターは足元の空気の変化に敏感に反応するのが特徴だ。代表的な指標が、日経センターのESPフォーキャスト調査である。同調査の2014年度の実質GDP前年度比の予測は、2014年1月まで上昇を続けた後2,3月は頭打ちからやや水準を下げていて、前回の一部経営者の実感の変化に近い。また同調査は、消費者物価については2月以降も予測値を引き上げており、全体として、基調が弱気に変化しているわけではないことも分かる。

 この間、同調査の2013年度実質GDP予測は、昨年夏場(8月)にピークをつけ、その後徐々に切り下げている。政府の2013年度見通しや2014年度予測と異なる内容となっている点懸念が残るが、この点については、同調査が数値で予測をする調査で、公表される過去の実績値の変化が全体の数値に影響していると考えるとよい。すなわち、実質GDP統計の最近期の前期比は、昨年8月以降公表の都度低めの伸びにとどまっており、こうした過去の評価が、先行きについて見方に大きな変化がなくても全体を押し下げていると思う。

 こうした見方の当否は、4月以降明らかになってくるはずだが、政策当局は、期待の萎縮による景気腰折れを防ぐため、適切なタイミングで国民を勇気付けるメッセージを発信することを期待したい。

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