わたしの意見-
水野 創

消費税引き上げ後の景気を支える民間企業

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月3日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 いよいよ4月1日から消費税が引き上げられた。

 3月下旬は駆け込み需要が盛り上がり、個人消費関連はその反動や物価の上昇に所得の伸びが遅れることから今後暫く影響が避けられないと思う。しかし、引き上げ当日の4月1日に発表された日銀短観(3月調査)を見ると、民間企業は2014年度に向けても元気さを持続している。結果を確認し正直ほっとした。4月以降の景気を考える上で大きな支援材料だ。

 まず超円高修正、株高でアベノミクスの影響を最も享受している大企業製造業では、2013年度事業計画の輸出や経常利益が12月調査時点からさらに上方修正されており、売上高経常利益率は6.3%とリーマンショック前のピーク(2006年度6.8%)にほぼ匹敵する水準に達している。また、先行きについても、今回初めて調査した2014年度事業計画の売上高経常利益率は6.1%と6%台を維持する計画となっている(図表1。なお、前回消費税引き上げ直前の1996年度は4.2%)。

 次に、2014年度の設備投資計画を見ると(図表2)、大企業・全産業ではこの時点の調査としては高めの計画になっているのに対し、中小企業・全産業では慎重な計画となっているのが目立つ。アベノミクスの効果浸透の度合い、今後の輸出増加の効果、個人消費減速の織り込み方で差が出ているのだと思う。ただ、中小企業は2012年度、2013年度の2年連続2桁増加で水準が高くなっている。金額ベース(4.5兆円)では昨年3月調査の2013年度計画(4.4兆円)をやや上回る水準となっているので過度に心配する必要はない。これからが勝負だ。

 2014年度計画は来年6月の実績調査まで6回調査される。今回の元気な民間企業像が維持されるよう、適切な政策対応を含め期待したい。

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