わたしの意見-
水野 創

「市場対中銀」の枠組みに復帰した日本

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月10日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 消費税引き上げ後最初の週末を越した。訪れた店頭やマスコミ報道をみる限り、経済への影響は予想の範囲内の動きだと思う。

 一方、為替、株式市場は4月に入ってからも振れが大きい。

 為替、株式市場は昨年5月以降、主に米国経済回復、それによる米国中央銀行の金融政策の変更、その新興国への影響といった海外要因で変動し、アベノミクスの効果発揮の追い風になってきた。それに対し今回の動きは、わが国経済が今後消費税引き上げをどのように克服するか、それを支援するためにどのような金融、経済対策が取られるかも材料にされ始めたように感じる。

 これまでの米国中心だった「市場対中央銀行」の対峙の枠組みに1年ぶりに日本も復帰したことになる。

 国内の金融政策、経済対策関連では、今後、4月30日の日銀展望レポート公表、5月以降の企業の3月期決算発表、6月の政府の成長戦略決定などイベントが目白押しだ。その都度、市場とどのように向き合っていくかを問われることとなろう。

 市場の動きを予測することはできないが、市場の予想外の振れにより、消費税引き上げに対応するわが国経済の先行きに対する企業経営者の期待が弱気に振れ過ぎることがないよう、政策当局の適切な情報発信と対応が求められる。

 こうしたタイミングで、4月8日の日銀総裁会見から会見の模様が同時中継されることとなった。総裁の発言の一言一言が直接市場に響くようになり、市場との対話がより円滑に進むようになることを期待したい。

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