わたしの意見-
水野 創

想定通りの景気、不安定な市場

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」5月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は消費税引き上げ後も「基調的には緩やかな回復を続けている」として、現状の金融緩和政策を維持する決定をした(5月21日)。現下の国内経済が概ね想定どおりに進み、エコノミストも7~9月期からの回復を予想している(表1)。

 もっとも、21日の為替相場は一時1ドル100円台となり、株式市場も14,000円近くで推移するなど市場は不安定な動きを続けている(表2)。国内では逃げ水のような成長戦略や外交・安全保障政策への傾斜、海外では米国経済の回復ペースに対する不安(米国金利低下)、ロシアや中国をめぐる緊張の高まりなどが要因だ。

 これまで回復の起点になっていた「為替の超円高修正、株価上昇」の変調で、最近お目にかかる企業経営者の皆さんは年初、賀詞交歓会のころの高揚感からは相当覚めた気分になっておられるように感じられる。

 当面の景気回復の柱と期待される民間設備投資は、高水準の企業収益とアベノミクスによる期待の高まりが支えだ。不安定な市場への懸念から企業マインドが慎重方向に逆回転しないよう適切なメッセージの発信と政策対応を期待したい。

 一方で、成長戦略で既得権勢力の岩盤を崩すことがいかに難しいかは、これまでの経過が示すとおりである。経営者にとっては、成長戦略を待つのではなく、当面高水準の企業収益を活かし環境変化に積極的に挑戦して行くことが求められているのだと思う。

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