わたしの意見-
水野 創

注目される消費税引き上げ後の雇用・賃金指標

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」5月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 消費税引き上げから2ヶ月、これまで「概ね想定どおり」と評価してきた状況が4月の経済指標により裏付けられるだろう。

 発表された指標は大口電力、百貨店売り上げ、自動車販売などまだわずかだが、これまでのところ「概ね想定どおり」に沿った結果になっているようだ。

 明日(5月30日)以降、他の指標も次々明らかになるが、雇用・賃金が、引き上げ後の景気減速期にどのような動きになってくるか、その後の個人消費の回復スピードとも関連し注目したい。

 具体的には以下のような展開が想定される。短期回復見通しを裏付ける結果を期待したい。

 (1)失業率、有効求人倍率、雇用者数の改善基調は崩れない。一時的減速の後、少なくとも2020年東京オリンピック・パラリンピックの準備に目途がつくまでは、基調的な労働需給ひっ迫が継続すると考えられるからである。ただ、2020年以降はオリンピック後の反動を含め見通し難く、雇用者のうち常用雇用の比率は増加しにくい。

 (2)賃金は、時間外勤務手当が一時的に減少するが、ベア等による定例給与の上昇や賞与上積みの効果で緩和される。

 (3)3月に上昇した消費性向は高めの水準で推移する。景気が想定の範囲内の減速にとどまり比較的短期で回復するとの見通しや物価先高観の定着から、従来の消費水準を維持する慣性効果(ラチェット効果)が働き、回復を下支えする可能性がある。

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