わたしの意見-
水野 創

欲しい「想定外」の力強さ

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」7月17日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は昨日「展望レポート」の見直しを実施した(7月15日)。

 消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動は想定の範囲内で、成長率、消費者物価とも概ねこれまでの見通しに沿って推移するという内容だ(表1)。

 最新の民間エコノミストの見通しも、消費者物価の見通しが実績を追認する形で引き上げられ、日銀見通しに幾分近づいてきているが大筋で変わらない(表2。ESPフォーキャスト調査、7月10日発表)。

 もっとも、こうした「想定内」の流れの中で、円相場、企業株価は、年度末には1ドル110円、日経平均18,500円の年初期待と異なり狭い範囲でのさえない動きが続いている(表2参考)。海外経済の下振れ、国際政治情勢や政策要因もあろうが、特に高値圏の米国と異なる日本株については、消費税引き上げの影響やわが国企業の成長戦略と投資態度を見極めたいという国内要因も大きいと思う。

 既に駆け込み需要の反動を脱することが期待されている7~9月期に入っている。

 年初の期待に応えるためには、単に引き上げに伴う反動を克服したというだけでは物足りない。夏場の季節商品や夏休みの観光の活況、企業が続けているコストアップ分の価格転嫁を試す動きが消費者に受け入れられ収益、雇用、賃金、前向きな投資につながる好循環が加速するといった「想定」を上回る元気の良さを実感できる四半期となることを願っている。

 1~3月は米国の大雪に足を取られたが、今期は天候の支援も期待したい。

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