わたしの意見-
水野 創

需要増加の援軍を得る首都圏空港

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」7月24日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 成田空港の利用者数(国際線、国内線合計)は2013年度に2007年度以来6年振りにピークを更新した後、4月以降も前年比プラスを続けている。

 主力の国際線は、羽田空港の国際線発着枠二次増加後(3月末)、大幅な落ち込みが懸念されていたが、4,5月の実績をみると訪日外国人の大幅増加継続に支えられて小幅な減少にとどまっている。中国、韓国など政治情勢に左右される国もあるが、このままの状況が続けば、夏休み期間も需要増加に支えられよう。

 ――成田国際空港株式会社(NAA)では、2014年度の国際線利用者を前年比5.6%減、お盆期間中の利用者を同7.9%減と推計している(それぞれ5月14日決算説明会、7月14日)。

 ――一方、羽田空港の国際線利用者は4,5月は前年比4割の大幅増加、首都圏空港としてもそれぞれ同8.7%、同8.9%の増加となっている。

国内線も、LCC効果で前年比2割大幅増加が続く(NAAの2014年度見通しも同2割増)。

 ――羽田空港の利用者が減少しているわけではなく、LCCは期待通り新たな需要を創出している。

 アジア諸国の所得増加、LCCの定着、超円高の修正、2020年東京オリンピック、パラリンピックも展望すれば今後も大幅な需要増加が期待される。

 成田空港の2014年度年間発着回数は23.4万回を見込んでいる(NAA)が、30万回にはまだ距離がある。首都圏空港全体としての伸びも全国に比べ高いわけではない。需要増加、利用者のニーズを受け止める長期的な展望を持った関係者の合意形成に期待したい。

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