わたしの意見-
水野 創

お盆期間中の旅客数は増減まちまち

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」8月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 交通関係各社からお盆期間の旅客数の実績が発表された(18日)。航空会社の国際線は前年を上回ったが、国内線とJR各社は台風11号の影響を受け前年比増加、減少まちまちだった(表では航空会社は6社中2社が、JRは5社中3社がそれぞれ増加)。

 各社ごとに見ると、旅客数の最も多いJR東日本は、台風11号の影響が比較的少なく、大型商業施設や各種イベントも賑わったことなどから前年を上回った。しかし、旅客数2位、3位で、合計するとJR東日本より旅客数の多いJR東海とJR西日本が前年を下回り、また4位、5位のANA、JALの国内線がいずれもマイナスとなっている。

 夏らしい天気が、消費税引き上げ後の個人消費回復を後押ししてくれることが期待されたが、逆の結果になってしまったようだ。こうした状況は、曜日構成の悪さがそのまま結果に反映されたゴールデンウィークのときと同様である。環境にかかわらずよい結果が出るようになるには一段の資産効果や賃上げで所得の増加が物価の上昇に追いつくことが必要だろう。

 この間、航空各社の国際線は訪日外国人の増加や羽田空港の発着枠増加などから各社とも前年を上回り好調だが、東京入国管理局の速報では成田空港の入出国者数は羽田空港の増枠の影響から前年比▲7%(▲6万人)と減少した。事前の成田国際空港会社の推計(▲8%)より幾分改善しているが、両空港合計が同+5%(5万人)の伸びを示す中での減少で、厳しい結果である(羽田空港は同+44%、+11万人)。

 羽田空港については、ここに来て、JR東日本(羽田空港アクセス線)や東京モノレール(東京駅延伸構想)からアクセス手段の一層の拡充も打ち出されている。我々は、成田空港の国際線旅客数の減少が国内線LCCや航空貨物の増加で目先カバーされていることに安心せず、日本の空の表玄関としてお客様に選ばれるよう、これまで以上に魅力の向上に取り組まなくてはならないと思う。

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