わたしの意見-
水野 創

厳しい綱引きが続く、スーパー対消費者

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」8月27日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 消費税引き上げから5か月が経過する。概ね想定通りと言っているが、引き上げの影響を克服して成長軌道に乗ったという手応えはまだない。台風、大雨の影響、弱含みの生産、輸出、市場での円安、株高など取り巻く環境や指標も一様ではない。

 こうした中で、4月以降の企業の積極的な価格引き上げの動きがどのくらい消費者に受け入れられるかは、今後の企業収益、雇用・賃上げ等を通じ景気の先行きを大きく左右すると思う。

 昨年から公表されている日次物価指数(スーパー300店舗のPOSデータにより作成。消費税抜き、前年比)の動きを見ると、7月以降低下が目立ち、8月後半は一段と下げている。同指数には価格据え置きで量を減らす実質値上げは反映されないが、厳しい局面だ。この間、同時に公表されている、日次売上高指数は4月初の落ち込みから徐々に前年並みに戻しており、値引きを強化して量、売上を確保していることが分かる。

 消費税引き上げの影響一巡を実感するためには、所得の伸びが物価上昇に追いつかない個人部門をアベノミクスの効果を享受してきた民間法人部門と公共投資、輸出で補い、全体として成長を加速することが必要だ。

 週末には7月の各種統計が発表される。よい方向に向かっていることを期待したい。

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