わたしの意見-
水野 創

7~9月実質GDP2次速報での上方修正項目

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」12月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 7~9月の実質GDP2次速報(8日)が公表され、大方の予測に反し11月に発表された1次速報に比べ小幅下方修正となった。下方修正の主因は設備投資で、消費税引き上げ後の回復力が家計部門だけでなく好調を伝えられる民間企業部門でも弱いことが注目された(表1)。

 たしかに、成長の勢いが最も顕著に表れる「季節調整済み前期比(とその年率換算)」で見るとその通りだが、今回の改定では、それ以外にも多くの項目が過去にも遡って改定されている。

 中には、上方修正されているものも多いので主な項目を確認しておきたい。

 実質GDP前年比では2013年度実績の民間需要が上方修正され、特に設備投資は全体への寄与度も引き上げている(表2)。この間、公的需要は下方修正された。

 実質GDPの水準(金額表示)では2013年度、7~9月ともに上方修正されており、冒頭で下方修正の原因とされた7~9月の設備投資も水準としては0.9%上方修正されている(表3)。なお、設備投資は原系列前年比でも+1.6%とプラスを維持している。

 このほか、季節調整替えに伴い、昨年夏以降の四半期毎の振れも均されている(表4)。

 今回の見直しは、現在の勢いは期待外れだったが、昨年度の実績や現在の水準で見れば民間部門の着実な回復を確認できる。公表毎に印象が変わるが、浮足立つことなく、着実にそれぞれの課題に取り組むことが重要だと改めて感じた。総選挙が終わり、当面の経済対策についても目途がついて来れば、ESP調査の見通しにも変化がみられると思う。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。