わたしの意見-
水野 創

12月短観から見る2014年度経済の特徴

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」12月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 12月調査の短観が公表された(15日)。今回の特徴は以下の通りである。

 (1) 業況判断(最近全産業・全規模)は9月調査に比べ小幅改善(+4→+5)。先行きは+1と慎重。

 (2) 2014年度上期は売上、経常利益とも上方修正され増収、増益(同、前年同期比各+2.8%、+4.9%)。

 (3) 設備投資は増加傾向にあり、大企業製造業の下方修正も毎年の傾向どおり(図)。

 全体として前回調査から大きな下振れはない。また、今回の想定為替レートは103円/ドルであり、今後の計画については上方修正される可能性が強い。

 この間、業種ごとに見て厳しいのは輸入と個人消費関連の一部業種、特に中小企業だ。12月調査の業況判断(最近)で二桁のマイナスは大企業では石油・石炭製品だけだが、中小企業では繊維、木材・木製品、紙・パルプ、小売の4業種。先行きについても大企業は紙・パルプを加えた2業種だが中小企業では石油・石炭製品、宿泊・飲食サービスを加えた6業種に増えている。もっとも、これら業種についても、10月以降の資産効果、原油安、消費税の影響一巡、消費税再引き上げ延期で2015年に入ると感じが変わることが期待される。次回以降の調査の結果が楽しみだ。

 なお、今回調査の設備投資うち土地投資額をみると、企業規模を問わず積み増しされており、特に中小企業が大きい(表)。昨年もみられた動きだが、10月の金融緩和の強化と今回の総選挙での今後4年間のアベノミクスの継続決定により、今後もこうした動きが強まることが考えられる。

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