わたしの意見-
水野 創

中央銀行発、大揺れの市況

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」1月23日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 今年の「ひまわり定期講演会」が始まりました。16日の茂原会場を皮切りに、20日は木更津、22日は鴨川会場で開催し、寒く、また鴨川は雨の中にもかかわらず多くの会員の皆様にご参加いただきました。心よりお礼申し上げます。27日以降常磐、成田、船橋、浦安、千葉会場と続きます。会場で皆様にお目にかかるのを楽しみにしています。

 さて、21日の日銀政策決定会合では2015年度の消費者物価上昇率が前年比+1.0%に見直された(除く生鮮食品。消費税引き上げの影響を含む10月時点の見通し同+2.4%)。2014年度の見通し同+2.9%と比べ大幅に低下する。最近の雇用・所得関係の指標を見ると(毎勤統計、事業所規模5人以上)、労働者数は昨年11月に前年比+1.6%、一人当たり名目賃金は同+0.1%増加しており、両者を掛け合わせた雇用者の名目所得は既に前年比+1%を超えている。今回の見直しで物価上昇率を引いた実質所得も2015年度に入れば前年比プラスに転じる目途がついた。個人消費の地合いの変化が期待できる。

 一方、市場は引き続き振れが大きい。今年は米国の金融政策変更見通しや原油価格の下落から市場の振れが大きいことは予想されていたが、ここに来て、スイス国立銀行のスイスフラン無制限介入政策の終了決定(15日)、ECBの量的緩和政策決定(22日)もあって、年初来の株式市場、外国為替市場に加え、22、23日にはこれまで低下一方だった各国長期金利(国債市場)も大きく動き始めた。

 出口を目指す米国、今回は現状維持の日本市場、量的緩和に入った欧州と政策当局の方向もまちまちで、各市場への影響もより複雑になる。各国中央銀行と市場・投資資金との力比べ・知恵比べになる局面も増えると思う。歴史的にも初めての経験で難しいが、実体経済の回復基調を崩さず乗り切る政策当局の技の冴えに期待したい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。