わたしの意見-
水野 創

縮小しない景気回復の差―需要増加の取り込みを

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年8月6日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 4月以降、為替円安、株高傾向の下、景気回復が鮮明になると期待していたが、今週も冴えないニュースが続いている。

 4~6月実質GDPが海外経済や天候不順の影響でマイナス成長になるとの民間予測(1日、日経新聞)や6月の賃金総額前年比が企業のボーナス支給時期のずれ込みからマイナスに逆戻りした(4日、毎月勤労統計)などである。

 為替円安メリットの大きい製造業大企業と賃金上昇前にスーパーの値上げに直面している家計部門なども、景気回復の地域、部門・業種、企業規模別の差が縮小せず、海外経済や天候要因などによる振れが大きく出ているのだと思う。

 最近の訪日外国人の増加にしても、その需要の取り込みに成功している地域・業種とそうでない地域・業種の差は極めて大きくなっているはずだ。

 例えば、訪日外国人の増加に伴い、首都圏空港(成田・羽田空港の合計)の利用者も急増しているが、その全国シェアは振れを伴いながら低下している(図表1,2)。その分、LCC拠点で先行する関西空港や大型クルーズ船立ち寄り港など、より多くの需要を取り込み、シェア拡大に成功している空港・港がある(図表3)。

 入国地から出国地までのアクセス手段、訪問・宿泊地についても大きな差がついているだろう。

 このことは外国人関連に止まらない。今後需要増加が見込まれる分野について、将来を展望してどのように対応、投資して行くか、それぞれの地域、企業が問われている。

 地方創生の計画作りでも同様だ。

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