わたしの意見-
水野 創

地方創生成功の条件

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年10月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨21日、千葉県生産性本部主催のシンポジウム「千葉創生と人材育成―地方創生の成否は生産性向上を担う人材で決まる」が開催され、産官学労金、各界からパネリストとともに私もコーディネーターとして参加した。

 地方創生には、生き残りをかけた地域間競争と環境変化に対応した新たな産業・価値の創造(イノベーション)の両面があるが、競争の勝ち負けやイノベーション進展の状況が地域・企業により大きく異なっていることがパネリストの発言から明確になった。

 さらに、今後、地方創生の取り組みが成功するための条件として、①地域の現状に対する「危機感」、②自らを変える「覚悟」、③地域の発展を願う「熱い思い」、④地域内の産官学労金「連携」と地域をまたがる広域「連携」が挙げられた。

 これらについて、豊かで恵まれた環境の千葉では実現が難しいとされることが多いが、パネルでは先行事例も紹介され大きな刺激となった。

 例えば、人口減少による働き手の減少に対し、働き手の多様化、WLBに取り組んだところ、その浸透と共に働き手全体の働き方に変化が生じ、生産性向上に結び付いた事例などである。

 ゼロサムゲームの地域間競争ではなく、新たな価値を創造する好事例により持続可能な地域が再構築されていく期待が持てた。

 この間、2015年10月国勢調査の調査票の提出は10月7日に締め切られている。

 結果が公表される2016年2月までは、現在公表されている2015年9月の人口が最新の統計となる。県全体としては増勢を回復しているが、中には前回国勢調査からの減少幅が、その前の5年間の減少幅を上回り、かつ2012年に私どもが行った2015年の人口推計(推計3)も下回っている自治体もある(図表1,2)。

 各自治体が地方創生成功の条件を満たすための取り組みを引き続き応援していきたい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。