わたしの意見-
水野 創

いよいよ発車、里山トロッコ列車

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年11月6日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今秋運行開始と予告されていた小湊鉄道の「里山トロッコ列車」の運行開始日(11月15日<日>)、電話予約開始日時(11月6日午前10時)がついに発表された。

 トロッコ列車は全国で数多く走っているが、今回の「里山トロッコ列車」は以下の特徴を持ち、紅葉シーズンも重なって多くのお客様がその魅力を堪能されると思う。

 ①通常の約2倍の時間をかけて走る、先人による手作りの鉄道をじっくり体感する。

 ②房総半島の自然、沿線のボランティアの人たちにより整備された四季の景観・空気を楽しむ。

 ③JR、圏央道を使って首都圏から、また成田・羽田両空港からも手軽に利用できる。

 そして、今回の動きは、「民間発の地方創生」としての展開も期待している。

 すなわち、小湊鉄道沿線は、東京湾沿岸の五井地区以外の大半が人口減少地域だが、トロッコ列車が走る「上総牛久・里見・養老渓谷」間は特に人口減少が目立つ。地域の魅力を生かした「新しい観光資源」の創造により交流人口が飛躍的に増加し、それに着目した宿泊、飲食、地域特産品といった新規投資・定住人口増加につながるよう、幅広い関係者が積極的に連携する気運を作り出すことができるかがポイントになる。

 タイミング良く、市原商工会議所は特産品のイチジクを利用した料理、スイーツなどによる地域おこしを「いちはら国府ブランド」の一環として取り組んでおり、起点となる五井駅周辺はもとより、今後鉄道沿線での事業展開も期待される。トロッコ列車の乗車時間は30分から1時間程度であり、その前後の時間を駅周辺やより広い地域の周遊によりお客様にどのように楽しんでいただくか可能性は無限だ。鉄道の線にとどまらず、面での活性化につなげていき、それが里山トロッコ列車の平日を含む通年運行を促す好循環に期待したい(今回は冬場を除く金・土・日・祝日運行予定)。

 現在、空港や圏央道延伸、東京湾アクアライン料金引き下げを活用した地域の活性化が先行しているが、交通インフラ関連の民間発の革新的な地域活性事例になるよう我々も貢献したい。

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