わたしの意見-
水野 創

ドラギ総裁の一言、黒田総裁は?

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年1月28日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 市場の動揺が続いている。もっともこの一週間で雰囲気は劇的に変化し、あてのない漂流から振幅を繰り返しながら着地を目指す局面になってきたようだ。

 変化の主は欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁だ。21日の記者会見で「3月の理事会で政策を再評価する」と発言し市場の流れを変えた。

 ドラギ総裁といえば2012年7月の「何でもやる」発言も印象深い。ギリシャ財政危機に端を発したユーロ危機の瀬戸際で、焦点となっていた南欧国債のECB買い入れを強い表現で肯定し世界中の市場を鎮めた。

 何といえば市場が落ち着くのか、優れた感覚を持っているのだろう。

 27日、米国は事前の予想通り現状維持を決め、次は明日(28日)の日銀の判断待ちの状態だが、米国の現状維持決定後の株式市場の下落は限定的だし、今日の日本も今のところ落ち着いた動きだ。先週のドラギ総裁の言質が支えになっている。

 明日、日銀がECBのように総裁の「発言」で市場を治めるか、「行動」にまで踏み込むか、物価見通しの下方修正と共に、この一週間の市場の環境変化も見極めて判断されると思う。

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