わたしの意見-
水野 創

「マイナス金利付き量的質的金融緩和」の効果

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年2月4日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀が「マイナス金利付き量的質的金融緩和」を決定した(1月29日)。

 欧州中央銀行(ECB)はドラギ総裁の政策見直し予告(「3月の理事会で政策を再評価する」。21日記者会見)だったのに対し、日銀は大胆な政策変更に踏み込んだ。

 その結果、わが国の長期金利は大きく低下し、原油価格等を材料に再び動き始めた各市場も、わが国の為替、株式市場は水準を切り上げたところでの動きになっている。市場には政策の効果が明確に表れている。

 マイナス金利で先行する欧州では既にマイナス0.3%まで引き下げているうえ、3月の政策見直し予告もあり、先行き、一層の緩和の余地があることへの安心感も生じると思う。

 新政策の経済・企業業績への影響については以下の両面が考えられる。

 ①円安・株高の補強は輸出関連製造業大企業の業績改善を起点としたアベノミクスの好循環の持続にも寄与する。

 ②金融商品の金利低下につながるマイナス金利は、家計の「先行きへの信頼・安心」にはつながらず、今後所得が増えてもこれまで以上に貯蓄にまわす可能性がある。関連業種の業績にも影響する。

 新政策は効果も大きい反面、副作用も明確だ。緩やかな景気回復が続くとはいえ、業種別、規模別、地域別の差はなかなか縮小しないだろう。

 新政策のもたらす時間的余裕を活かし、企業のイノベーションが進むよう期待したい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。