わたしの意見-
水野 創
G20対投資資金、そして日本
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年3月3日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
先週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で大荒れの市場に対する主要国の一致した対応が示され、今週の市場はこれまでの行き過ぎが修正されている。
米国金利引き上げ以来、稼ぎ所を求めて荒れ狂っていた投資資金も、当局に少しは敬意を払ったということだろう。
もっとも、以下のような市場環境が変化しているわけではなく、市場を揺さぶる材料には事欠かない。上昇、下落どちらの方向にも大きく振れる状況が続くと思う。
①日欧の金融緩和が続いており、市場に資金は供給され続けている。
②中国経済の構造改革には時間がかかる。
③原油価格や地政学的リスクなどの不安定要因が数多く存在している。
④米国の金融政策の道筋が不透明になっている。
当面、1月にドラギ総裁が「3月の理事会で政策を再評価する」と発言した欧州中央銀行(ECB)の次の一手(3月10日)や米国の経済指標と政策判断(3月15、16日FOMC)が注目される。
この間、110円/ドル台前半の為替円安と日経平均15~16千円前後の株安でアベノミクスの逆回転の瀬戸際に立たされているわが国にとっては、今程度の修正で我慢できるわけでもない。アベノミクス以前とは意味合いは違うが「閉塞感」を指摘する声も耳にするようになってきた。
政権・政策当局は5月のサミットや7月の選挙に向けて、最終的には消費税の10%への引き上げの再延期を切り札に、市場、そして為替相場について場合によって他の政策当局に対し、さらに戦いを挑み、圧力をかけていくことになるだろう。
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