わたしの意見-
水野 創

地域別・用途別に顕著な差―住宅不動産価格動向

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年3月31日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2016年1月1日時点の公示地価(前年比)は全国平均で8年ぶりの上昇、住宅地の下落幅も▲0.2%まで縮小した(3月23日。国土交通省)。

 もっとも、地価(住宅地)のほか、戸建住宅、マンション(区分所有。主に中古を対象)を対象とする不動産価格指数(住宅)のアベノミクス後の3年間の動向(2015年平均の2012年平均比)をみると、地域別のほか、用途別にも大きな差があることが分かる。

 ①全国では、地価が横ばい、戸建てが小幅上昇なのに対しマンションは大幅に上昇しており、この結果、住宅総合は+5%上昇している。マンション価格は各地で二桁の上昇となり、全国に広がっている(表1)。

 ②地域別にみると、取引が集中している東京都の上昇が大きいが、地価、戸建てについては、北陸・中部地方を境として上昇・下落の差が大きい。

 ③サンプルとなる取引件数は、東京都を除き減少している。価格上昇が著しいマンションだけが増加しているのが目立つ(表2)。

 ④取引件数をみると、全国(1か月平均)13千件のうち5.5千件が関東、近畿が2千件、中部が1.5千件とこの3地域に集中している。四国、北陸はそれぞれ2百件に過ぎない(表3)。

 マイナス金利になり、不動産取引が活発になっているといわれている。今回は年平均で見たが、統計は月次で発表されている。1月以降どのように動いていくか注目したい。     

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