わたしの意見-
水野 創

業種別・規模別に大きなバラつき―3月短観の景況感

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年4月7日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 4月1日発表の日銀3月短観の業況判断DIは大揺れの市場や内外経済の状況を反映しバラつきが大きくなっている(図表1,2)。

 ①業況判断DIはアベノミクス前(12年12月)のマイナスからアベノミクス開始後1年、消費税引き上げ前(13年12月)までほぼ全業種で急回復したが、その後は業種別・規模別に区々の動きとなり、今回も13年12月の水準を上回る業種(図表2の○)から12年12月の水準を下回る業種(同◇)まで幅広い。

 ②規模別にみると、規模を問わずプラスの業種が多いが、規模により差がある業種(小売など)、規模を問わず悪い業種(鉄鋼など)も目立つ。

 ③業種別・規模別に前回からの変化を見ても改善・悪化は様々だが、業種数では規模を問わず悪化している業種が16と最多。先行きについても同様である(18業種)。

 今回調査の回答期間は2月25日から3月31日までだ。4月以降の一段の市場の動揺を考えれば現時点の判断は一段と悪化している可能性が強い。

 これに対し、現在報道されている政府の経済対策は、当面の政治日程を考慮してばら撒き・総花型のものが多くスピードも遅い。業種別・規模別の差に応じた、多様な経営者のイノベーションを促すものでないと、市場との戦いは厳しいと思われる。

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