わたしの意見-
水野 創

市場での割り負け感は当面続く

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年5月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 26、27日のG7伊勢志摩サミットが近づいてきた。

 本番に向けて政策対応に対する安倍首相、麻生大臣や各国首脳の発言が報じられている。

 市場はこうした発言や各国中央銀行の政策を材料に引き続き乱高下を続けているが、為替市場や株式市場における日本の主要国対比の割り負け感に変わりはない(昨年末と最近の株式市場で比べると、日本▲13%、米国+2%、ドイツ▲8%。原油は+29%。表参照)。

 挽回できない理由はいくつもある。

 ①「金融政策、財政政策、成長戦略」の3本の矢が引き続きばらばらに議論されていること。消費税率引き上げについても、政策全体の中で評価されるべきものである。

 ②麻生大臣や黒田総裁が為替介入やマイナス金利の深堀について発言しても、実際の手段が限られていることを市場に読まれていること。

 ③年初の市場混乱時は、日本は各国政策当局と連携し投資資金に対抗するという構図だったのが、最近は、日本が投資資金だけでなく他国の政策当局ともつばぜり合いを始めていること。

 主要国ではこれから秋まで、日本では参院選、欧州では英国のEU離脱の国民投票、米国大統領選挙と重要な選挙・国民投票が控えており、各国政府、政策当局は国内の政治・経済状況を意識した対応を取らざるを得ない状況が続くと思う。

 これらが一巡するまで、割り負け感も続くことを前提に、経営方針を立てる必要があるだろう。

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