わたしの意見-
水野 創

地域差の大きい正社員比率

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年9月1日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 最近の労働需給の改善と個人消費の回復の遅れの背景として、将来への不安、そして不安をもたらす要因の一つとして「正社員比率の低さ(パート比率の高さ)」が指摘されることが多い。

 2014年経済センサスで全国・民営企業の正社員比率をみると全体では62%だが、男77%に対し女性は44%にとどまっており、男女差が大きい(表1)。

 また、首都圏1都4県を都道府県別にみると、東京都が66%と高く、次いで茨城県が全国平均並みの62%でこれに次ぎ、千葉県、埼玉県、神奈川県の3県は50%台半ばで並んでいる。男女別でもほぼ同様の状況で、東京都は女性の2人に1人が正社員なのに対し、千葉・埼玉・神奈川県では3人に1人にとどまっていることになる。

 人口は首都圏一極集中だが、雇用では東京都が突出している。

 東京都は社員数でみて情報通信で全国の5割、金融保険、不動産・物品賃貸で同約4分の1を占める特有の産業構造を持ち、それらの正社員比率は平均を大きく上回っている(各90%、86%、72%)。

 一方、東京都に近接する地域は、そうした産業の比率が低いうえ、比率が高い卸・小売、宿泊・飲食サービスなどの正社員比率が低いのが共通している(各4割台、2割前後)。

 この間、その他地域は、さらに検討が必要だが、人口減少幅の大きさが正社員採用の必要性を高めている可能性がある(茨城県の場合、製造、医療・福祉の正社員比率が高い)。

 なお千葉県内について市町村ごとにみると、一部の特徴ある自治体を除き、東京近接地域で低く、その他は高いとほぼ同様な傾向がみられる(表2)。

 東京都集中への対応は、近接地域共通の課題である。


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