わたしの意見-
水野 創
待ち遠しい9月21日
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年9月9日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
8月26日のFRBイエレン議長の講演(ジャクソンホール)から先週末の米国雇用者統計公表まで、9月末(上期末)に向けて期待されたシナリオは、以下のとおりだった。
①米・雇用者統計が前月までの勢いを維持し9月20,21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での米国の利上げが確実になる。
②わが国は同じ日に行われる日銀金融政策決定会合の「異次元緩和の総括的な検証」で日銀と国民・経済界のギャップが解消されるような政策見直しが行われる。
③外国為替市場は1ドル105~110円程度、株式市場では日経平均18千円前後で下期を迎え、年初来の円高・株安に起因する「アベノミクスの逆回転」解消の期待感が強まる。
しかし、2日に発表された米国雇用者統計は前月までの勢いがなく、利上げについては実施、見送り双方が予測される不安定な状況になってしまった。また、わが国の政策変更についても日銀正副総裁による様々な発言はされているが具体策に関する決め手はなく、今のところ21日の結果を待つしかない。
このため、今週初め、104円/ドル台、17千円台をつけた為替・株式市場もその後は101円/ドル、16千円台に戻ってしまっている。これではアベノミクスの逆回転解消は期待できない。
日付は同一ながら時差の関係で日銀の決定が先になり、FOMCはその後の市場の状況も見て判断できるという、日本が先行する環境も今のような状況の下では、居心地がよくない(なおECBは昨8日の理事会で政策判断を先送りしている)。
あいまいな状況は短期的な投資家にとっては稼ぎ時であるが、政策を待っている間に市場や経済全体が動揺することのないよう、当局の知恵に期待したい。
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