わたしの意見-
水野 創
必要な政治・地政学リスク対策
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年9月15日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
9月20,21日の日銀金融政策決定会合における「異次元緩和の総括的な検証」が迫ってきた。
世界経済の成長減速、原油価格低下、消費税引き上げの影響といった今回の検証対象のうち、海外要因には、新興国(中国)経済の減速のほか、政治・地政学リスクの多発がある。

2011年の「アラブの春」以降の中東諸国の混乱・ISの台頭・テロ多発、同年の北朝鮮・金正恩体制成立後の粛清政治・核開発、2012年に誕生した中国・習近平政権の海洋進出、2014年のウクライナ騒乱・ロシアのクリミア編入など枚挙にいとまがない。
2014年以降の原油価格急落も、米国シェールガス革命とロシア対策と評価されると思う。そして、これらの政治・地政学リスクは、関係国経済の大きな成長阻害要因になっているだけでなく、先進国における格差拡大・移民への不満等から米国のトランプ現象やイギリスのEU離脱にもつながり、先進国の成長減速ももたらしている。
中国・ロシア、北朝鮮などの体制や中東諸国の混乱、先進国への波及は今後も相当期間継続するだろう。
市場はこうした政治・経済情勢全体を評価して変動するが、エコノミストにとってこうした分野は得意ではない。
金融財政政策で対応する部分はもちろんあろうが、今回は政治・外交を含めた総合的な国家戦略として取り組む必要が従来以上に強まっていると思う。
部分的な対応がもたらすあいまいな状況は、市場の短期的な振れを大きくし、好ましい結果をもたらさない。
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