わたしの意見-
水野 創

アベノミクスの中間評価

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年9月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 9月21日、日銀は「異次元緩和の総括的な検証」を決定した。

 物価目標を実現できなかった3つの理由のうち2つは基本的に海外要因だが、残りの1つ「消費増税後の消費停滞」はアベノミクスの評価そのものだ。

 そのアベノミクスを評価する指標は、人口、雇用、賃金、財政赤字、投資など多岐にわたるが、目標が明確なのは成長率だ。

 成長戦略では「経済再生ケース」で10年間平均の名目成長率3%、実質成長率2%を掲げていた。

 2013年度からの実績を見ると、消費税引き上げ前の駆け込みのあった2013年度の実質GDP成長率だけが2%であとは全て下回っている。

 「壮大な実験」の途中なので中間評価であり、アベノミクス開始前に比べ経済が回復していることは確かだが、目標との対比で見れば到達への道は遠い。

 目標に遠い理由は、物価同様、海外経済の下振れもあろうが、円安・株高を起点とした好循環が中断していること、成長戦略も期待ほどの成果を上げていないことが大きいと思う。

 かつて一年ごとに総理が変わっていたが、最近は、2013年「3本の矢」、2014年「地方創生」、2015年「新3本の矢」と一年ごとに成長戦略の「目玉」が変わっている。

 今回の検証を機に、今度こそ腰をすえた戦略実現に期待したい。

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