わたしの意見-
水野 創

2016年度下期の展開

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年10月06日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2016年度も下期に入った。お客様とお話ししていると、下期の展望について聞かれることが多い。

 一段の円高・株安リスクも指摘される中で、わが国にとって好ましい展開は以下のようなものだろう。

 ①海外では、米国の金利引き上げが大統領選挙後にいよいよ実現するとともに、今後本格化する英国のEU離脱交渉がわが国等域外諸国を含め世界経済に大きな影響を与えない形で進展する。

 ②これを受け市場では、一段の円高圧力が減少する。また米国の2度目の金利引き上げ後の投資資金の暴れ方は本年初に比べればさすがに穏やかなものにとどまる。

 ③こうした海外、市場の動きを受け、わが国はマイナス金利の深掘りを含む一段の金融緩和の強化をしないで済む。16年度上期は地震、台風等の災害・悪天候の影響を各地で受けたが、その影響一巡後は今回の経済対策の効果もあって緩やかな回復が明確になる。

 これらが反対に動くと、厳しめのシナリオになる。

 この間、政治・地政学リスク面では、わが国で年末年始の総選挙が取りざたされ、国民に負担のかかる政策は先送りになりそうなこと、フィリピンの大統領が暴言を繰り返し「自由、民主、法の支配、人権、人道」といった共通の価値観を持つ指導者がまた一人減ったことなど、不安材料が多い。

 政治・地政学リスクが回避され、好ましい展開となるよう願っている。


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