わたしの意見-
水野 創
物価が前年比プラスに転じる日
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年10月13日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
国会では16年度第二次補正予算が成立し、今後の天候や政治・海外要因にもよるが、景気は緩やかな回復を続けることが期待されている。
消費者物価前年比が+2%になる目途はついていないとして、それでは前年比プラスに戻るのはいつだろう。
11日に公表された日経センターの10月ESPフォーキャスト調査(図表1)によれば、民間エコノミストの多くはその時期を年度末から来年度初にかけてと見込んでいる。
同調査のプラスへの転換点は夏場を挟み年末から年度末に先送りされてきたが、今回は8月下旬から9月にかけての天候不順やスーパーなどの価格競争の激化を織り込み上昇幅が9月調査比若干引き下げられているが、転換する時期は変化していない。
仮に期待通り、米国の金利引き上げが行われ、長期金利も上昇傾向が続くと、日米金利差拡大から外国為替市場は円安傾向となり、最近の原油価格の動きも考慮すれば、物価も今後数か月でプラスに転じる時期が現実のものとして意識されてくると思う。
長期金利市場との関係では、物価上昇が意識されてくると、長期金利をゼロ程度に抑え続けるのに相当の腕力が必要になる可能性がある。市場が大きな混乱なく転換点をうまく乗り切るため、当局の巧みな情報発信を期待したい。
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