わたしの意見-
水野 創

圏央道外側への追い風

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年10月27日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨年に続き地方創生セミナーを開催した(24日)。

 今回は「変化」に焦点を当てた内容としたが、準備をしながら、従来の「地域を圏央道の内外で二分し、全国の縮図」とする説明だけでは、十分な評価が出来なくなっていると感じた。

 例えば、千葉県の「空き公共施設等を活用したIT・ベンチャー企業等誘致事業」には受け入れ側で圏央道外側の多くの自治体が手を挙げたのは当然だが、進出側の県外事業者の関心も思った以上に高かった。また、銚子市の「廃校を利用したスポーツ合宿誘致」も銚子連絡道路が未開通にもかかわらず事前調査で多くの利用希望が確認され事業化に向けて動き出した。

 「圏央道の外側」とはいえ、「首都圏外と比較すれば東京に近い」優位性が評価され、また、情報通信技術をはじめとするイノベーションが飛躍的に進んでいることも追い風になっている。

 現在、銚子・九十九里・南房総の多くの自治体が日本版CCRCの構築を目指しているが、地域・事業者等関係者が連携して取り組めば、これまで以上に実現の可能性は高まっていると思う。



(出所)千葉銀行「続・千葉県創生戦略プラン」よりちばぎん総研作成

 こうした圏央道外側への追い風に対し、圏央道の内側では大規模商業施設の開設が続く一方、柏駅、千葉駅周辺の老舗百貨店等の閉店・閉店発表も続いている。人口は増えても、イノベーションの進行により物の買い方が大きく変わってしまったことも一因だろう。

 なお、店舗での購入からインターネット等を通じた購入、購入品の即日配送サービスが県内の物流拠点の新増設、関連雇用の増加といった構造変化につながっていることも見逃せない。

 われわれを取り巻く環境は地域内・グローバル双方の要因により引き続き猛烈な速度で変化していく。今後の総合戦略、事業計画の実施に当たっても、こうした変化に柔軟に対応していくことが必要だと思う。


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