わたしの意見-
水野 創

トランプ大統領の1週間

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年1月27日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 トランプ大統領が就任して1週間になる。

 就任前の不確定要因がある部分確定し、市場は未確定部分に期待する形で株高に反応している(金利、為替は横ばい圏内)。

 就任前のツイッター商法に加え、大統領令、記者会見、自動車業界との会談など多様な手法を駆使した緒戦の実利で国民の支持を得、今後の外交、議会対応に向け政権の勢いをつける狙いがあると思う。

 そしてこうした即断即決は、ファミリー企業のオーナー経営者として最も得意とするところなのだろう。

 もっとも、現在手にしている短期的な成果の積み重ねでは長期的な課題の解決にはつながらない。

 英国を含め、先進国の国民の投票時の反乱は、①富の偏在・集中、格差の拡大、租税回避地を使った極端な節税、そして②移民の流入による国のあり方の変化への不安・不満が原因である。

 これらに対応するためには、イノベーションの推進による産業構造の変化と人・モノ・金の資源の再配置、国際的な課税体系の整備、世界全体の所得上昇と適切な配分等が必要になる。「米国第一主義」を唱え、自らの納税申告書の開示を拒否している大統領がこうした一連の施策、特に①に対応する部分に取り組むとは思えない。

 国民がこうした事実を重視するようになるか、国民の目をそらし続けることが出来るか、短期的な政策決定と市場の動きと共に注視していきたい。

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