わたしの意見-
水野 創

人口減少と働き手  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年4月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 人口減少下の雇用情勢改善で、人手不足を訴える声が多い。

 こうした状況を、統計の動きで確認したい。

 ①常用雇用指数は、バブル崩壊後のボトム(2003年)以降、伸び率の高低はあるものの増加を続けている。最近は過去最高の水準にある(表1)。

 ②業種別には差が大きく、2016年の製造業はピークの1992年比▲27%、建設業は同1997年比▲22%。一方、医療・福祉は2000年比+84%。

 ③景気後退期は、一般労働者が減少し、パートがこれを補っている(表1)。アベノミクス2年目の2014年に一般労働者は増加に転じ、年を追うごとに伸びを高めている。

 ④最近の労働力人口の増加は、女性と65歳以上の増加が過半を占めている(表2)。この傾向はアベノミクス4年間の合計で見るとより明確になる。

 一般労働者の減少をパートの増加が補っている間は、雇用は増えても一人当たり所得は伸びず、個人消費の押し上げ効果は限られる。一般労働者の増加が目立つ今後が期待される。

 特に、世界経済の回復、市場の安定から企業経営者のマインドが改善し、消費者物価が上昇に転じ賃上げの必然性が高まっている今年は、所得・消費の好循環につながるチャンスだと思う。

 地政学リスクが高まっているが、こうした期待が損なわれないよう願っている。

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