わたしの意見-
水野 創

回復を確認した1~3月GDP  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年5月25日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 1~3月の実質GDP(1次速報値)が公表された(18日)。今期は民間需要(個人消費と設備投資)と輸出により伸びが支えられているのが目立つ。

 同時に発表された2016年度を見ても、民間需要と輸出の後半の伸びで15年度をわずかだが上回る成長を確保している。

 米国の金利引き上げに象徴される海外経済の回復とトランプ大統領当選後の円安・株高傾向の効果がはっきり確認できる。

 政治的な混乱が続き、地政学リスクは引き続き高いが、市場は昨年と異なり冷静に対応している。2017年度も2016年後半以降のこうした勢いが続くことが期待できる。

 なお1~3月期は個人消費関連で気になる点もある。①雇用情勢が全体として一段とひっ迫している下での雇用者報酬の伸び悩みと②消費税率引き上げ以降低下を続けてきた消費性向の2期連続の上昇である。

 前者が企業業績の回復とともに低下してきた労働分配率を回復する形で伸びを高め、後者が超高齢化社会の進行により年金・医療・福祉の将来不安が解消されなくても一定の上昇傾向に回帰するのか、今後の推移を確認したい。両者が前向きの結果になれば、これまで回復が遅れていた個人消費関連の中小企業にもプラス効果が及ぶだろう。

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