わたしの意見-
水野 創

首都圏の人口増加を決める諸要因  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年6月8日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 就職、進学、転勤などで人の動きが集中する3、4月の人口の動きが公表された。

 予想通り首都圏1都3県への人の流れに勢いがあり、各都県の社会増減(転入―転出)の増加幅はいずれも前年を上回った。この間、自然増減(出生―死亡)の減少幅は拡大しているので、両者を合わせた人口増減全体は、多少のばらつきはあるが、ほぼ前年並みとなっている。

 首都圏への人の流れは、魅力ある仕事、進学先などが首都圏に多い、仕事によっては首都圏にしかない状況を反映しており、こうした状況が続く限り変わらない。今回の結果や暦年の統計を見ると、そうした社会増を自然減が上回り、首都圏の人口が減少に転じるまでにはまだ相当の時間があるような気になる。

 その減少に転じる時期を考える鍵にひとつは「自然増減の動向」だが、各都県の自然増減数を見ると、人口の順、人口増減の順とは異なった並びになっている。減少数は東京都が一番少なく、埼玉、神奈川、千葉県の順に増加している。

 この結果は、各都県の年齢別人口構成、出生率、死亡率など複数の要因に依存しているが、直感的には「住み心地のよい千葉県で老後を過ごそう」という人の流れの結果、千葉県の高齢者の構成比が相対的に高くなっていることが考えられる。

 弊社も今後2015年の国勢調査の結果により人口推計を行う予定だが、その際には、地方創生による「まち、ひと、しごと」の変化のほか、これらの要因についても評価して行きたい。

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