わたしの意見-
水野 創

加曽利貝塚の特別史跡指定-地域の発展を振り返ると  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年6月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉市の加曽利貝塚の特別史跡指定が国の文化審議会により答申された(16日)。私たちの歴史・文化を振り返るよい機会だと思う。

 千葉県には、東京湾沿いの加曽利貝塚以外にも、中世まで存在した香取の海沿いの香取市、成田市などに大規模な貝塚があり、恵まれた環境の下、各地で時代を代表する縄文土器が作られた。古墳時代には各地に大規模な古墳が、さらに時代を下ると各地に城も築かれている。

 この間、作成された土器は水路・陸路を通じた交流を生み、地域は交通の要となっていく。交通網の整備はその後の蒸気船、利根運河、さらに現在の鉄道・高速道路網、空港整備の流れにもつながる。

 また、江戸時代以降、自然に働きかける形で地域・産業振興も進んだ。香取の海の一部を干拓し米の増産を図り、利根川付替えで洪水を減らし、戦後は東京湾岸埋め立てにより工業、リゾート地域も形成した。

 以上ごく簡単に見ても、先人はそれぞれの時代背景の下で、自然の恵みを活用し、あるいは自然に働きかけ、新たな技術を開発・活用して地域の繁栄をもたらしており、大変誇りに思う。

 現在、私たちは、少子高齢化、人口の首都圏集中、2020年オリパラ、アジア諸国の成長と外国人客の急増、第4次産業革命などのもとで、交通インフラ整備、新エネルギー、各種ツーリズムの振興、農業の6次産業化、医療・福祉などを含む地方創生などに取り組んでいる。

 今月は、市原市の地層を「中期更新世」を代表する地層にする「チバニアン(ラテン語で千葉時代)」の命名申請も行われた(7日)。これらの多くの歴史的資産も活用し、後世から評価されるような地域を引き継いで行きたい。

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